食文化や食べ物について、日々色々調べ物をしていて、食材や料理で気になったこと、まとめておきたいものをココに記していきたいと思います。
個人的なリサーチのため、情報には不確定なものも含まれると思うので、そこは了承していただけますようお願いします。また、一度に調べられないものに関しては、何度かに分けて書いていきますので、ゆっくりマイペースなメモ日記です。
ではよろしくお願いします!
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塩・・・Salt(英語)、Sel(フランス語)、Salz(ドイツ語)、Sale(イタリア語)、Sal(スペイン語)
調理をする上で欠かせないものといえば、塩。
塩は人間にとっても動物にとっても生命を維持するためにとても大切な存在であり、最古の調味料と言われてます。
現在、全体で年間1億8000万トンの塩が世界で作られて、
日本では約900万トンの塩が消費されています。主な輸入国はメキシコとオーストラリアで生産・輸入の割合の80%に。そのほとんどは工業用として消費されています。
元々英語のSaltは、ラテン語のSalが語源となり、Salad(サラダ)やSalami(サラミ)、Salay(サラリー)の由来になっています。
古代ローマ時代、国によって雇われていた兵士への給与の一部が塩で支払われていたことも給与=サラリーと変化した一因になったとかならなかったとか。
日本語の塩という語源は、潮(うしお)が始まりという説と、白穂→志本→シホ→しおと変化してきたという説などがあります。
塩は、地球が誕生した頃より自然の中に存在し、太古より食されてきました。
ざっくりその歴史を挙げると、
最も古く書籍として記録されているものは、4700年前の中国で、それによるとすでに当時には約40種類の塩があり、その作成方法(現在の作成法にも通じるもの)が記されています。
また古代バビロン(メソポタミア)やエジプトでも記録が残っており、当時は食料やミイラの保存・保護のために使用されていたとされています。(*塩分濃度が高い状態では細菌(雑菌)が繁殖しにくいため。) 当時、塩に関する貿易は課税制よりも古くからあり、アフリカから中東へと輸出されていました。その価値はシルクや宝石、金と同等に扱われていたとされています。
中世ではその高い価値から友情と信頼のシンボルとされ、市民のステータスの証とされていました。そんな中で、精製技術が発展し、塩鉱山がどんどん開発されて、塩の流通が増え、肉や野菜の保存やパンの製造、ビール、ワインの風味付けに使用されていました。
古代ローマにおいて、塩の製塩が行われていた都市をつなぐ道は塩の道と呼ばれました。
人間の生命にとって必要不可欠で、食品の保存や調理に必要な塩は、各国でその税金や流通を制するものがその街や地域を支配する、という時代が続くのです。(ハプスブルク家による塩の専売制度やアメリカ独立、南北戦争、ガンディーによる塩の行進など)
日本での塩に関する歴史は、
縄文時代の終わりから弥生時代にかけてが日本での塩の消費の始まりで、海藻を利用した藻塩焼きが行われていました。(塩地の砂を使って土釜で生産。)
9世紀には塩浜(入浜式と揚浜式)で生産され、石釜や鉄釜が使われるように。
17世紀中頃、播磨の国赤穂で入浜式塩田が発展、瀬戸内海沿岸が日本の製塩の中心になりました(十州塩田)。
世界の国と同じく、昔の日本でも塩は大変貴重なものとされ、明治から塩の専売制が開始されます。昭和に入ると、蒸気利用式塩釜、真空式蒸発缶が導入され、戦後は流下式塩田が始り、1959年以降はすべてその方式に。このように塩の製塩技術が発展し、身近な調味料になっていったのです。
1997年に塩の専売法が廃止され、塩の製造、販売、輸入が自由になりました。現在、外国の多種多様な塩が日本で購入できるようになったのはこのためです。
☆塩はすべて海水から
製造方法別にいうとおおまかに下記の10通りに分別。
①海水→天日濃縮→天日結晶=天日海塩 海のミネラルも含むが塩化ナトリウムが多い。
②海水→天日濃縮→釜焚結晶=釜焚海塩 海水の成分が出来るだけ壊れないようにしたもの。
③海水→イオン膜濃縮→釜焚結晶=イオン膜塩 塩化ナトリウム分が多い。
④海水→ニガリ+天日塩の溶解→釜焚結晶=再製加工塩(食塩、瀬戸のほんじおなど)
⑤湖塩水→釜焚結晶=釜焚湖塩
⑥湖塩水→天日結晶=天日湖塩
⑦湖塩→溶解→釜焚結晶=釜焚湖塩
⑧岩塩→溶解→釜焚結晶=釜焚岩塩
⑨岩塩→溶解→天日結晶=天日岩塩
⑩岩塩→粉砕=粉砕岩塩
*岩塩も湖塩も、元は海水が結晶化されて出来たものなので塩化ナトリウムの純度が高い。そのため癖の強い肉や魚(牛、羊、かつお、まぐろなど)、濃厚なソースへのしっかりした味付けに適している。
逆に海塩は、鶏肉、豚肉、白身の魚、スープやソース、野菜・穀物(パン作り・おにぎり)などの淡い甘みがある食材に合わせるとその旨味を引き立たせる。
☆色々な塩
1997年に塩の専売法が廃止されてから、様々な塩が日本国内で流通されるようになりました。国内では上記に上げたとおり、メキシコ、オーストラリアが主な輸入国ですが、その海塩を材料に国内で再度製塩されているものも多い。
世界的には、中国、アメリカ、ドイツ、インド、カナダが主な生産地。
伯方の塩・・・メキシコとオーストラリアの海塩と日本の海水を再融合させている。粗塩、焼き塩、フルール・ド・セル、ドライの4種類。
http://www.hakatanoshio.co.jp/
食卓塩(table salt)・・・メキシコからの天日塩を日本で溶解し、釜焚。
コーシャーソルト(Kosher Salt)・・・ユダヤ教の教えに従って作られた塩。粒がtable saltより大きく溶けにくいが優しい塩気で、添加物などが含まれない。様々なお料理に。
http://www.mortonsalt.com/for-your-home/culinary-salts/food-salts/13/morton-coarse-kosher-salt/
セルグリ(Sel Gris or Celtic Sea Salt)・・・天日海塩。ややグレーの色みのしっとりした粗塩。フランス語で「灰色の塩」という意味。脂肪分の高いお肉や野菜のグリルなどのシーズニングに。common salt。
グロセル(Gros Sel)・・・結晶のつぶが大きい海塩。塩田の底から取れるしっとりした粗塩。フランス語で「大きな塩」という意味。肉や魚のカリッとした塩の味付け、パスタや野菜を茹でる際に使う塩に。cooking salt。
フレークソルト(Flake Salt)・・・不揃いな形でピラミッド型の結晶。他の塩よりもミネラル分が少ない。海水の釜焚きや日干しなどで作られる。さらっとしており、馴染みやすいのでサラダなどの新鮮な食材のシーズニングに。
http://www.arte-vita.biz/salt.html
フルール・ド・セル(Fleur de Sel)・・・天日海塩。塩田の表面に出来る大きな結晶のみを集めたもの。その下にある結晶がセルグリ。大きめな粒とミネラル分が多いので豊かな風味が特徴。フランス語で「塩の花」という意味。生産効率が低く、希少価値が高い。魚や豚肉、野菜などの仕上げに。またお菓子の塩味にも。フランスやポルトガルで生産されている。
ハワイアンシーソルト(Hawaiian Sea Salt)・・・赤い塩と黒い塩の二種類の粗めの天日海塩。赤いものは、アラエラシーソルト(Alaea Sea Salt)と言い、火山土壌の赤土(アラエラという赤い自然のミネラル成分)と混ぜたもの。黒い塩(Hawiian Black Lava Salt)は火山の活性炭とミックスされたもの。どちらもミネラルが豊富で、豚肉や海藻、野菜などと合う。
燻味塩(Smoked Salt)・・・ゆっくりと燻製された塩。グリルした肉、焼いた野菜やポテトに。
調味塩(Seasoned Salt)・・・海塩に様々なもので風味を足した塩。トリュフ、レモン、クレージーソルト、抹茶塩、ハーブ塩など。
*クレージーソルトの日本への輸入は1970年頃から始まり、塩の専売法が施行されていた中で唯一の輸入された塩だった。(Wikipediaより)
ヒマラヤ岩塩(Himalayan Salt)・・・世界一標高が高い山々のヒマラヤ山脈から取れる岩塩。地球上で最もピュアな塩とされていて、人間が誕生するはるか昔の海水が岩塩になったもの。白、ピンク、赤、黒の4種類がある。パキスタンやネパールなどが生産地。ミネラル分が豊富で幅広い調理に使える。
*上記に上げた塩は日本で購入可能。